長い間お休みしていましたが、また今月から研究を再開したいと思います。
今回は2001 年に問題になった月餅の安全について取り上げてみました。
まずは月餅と中秋節の簡単な説明から。



月餅(yue4bing3)とは、中国で中秋節(旧暦8月15日)に食べ、または明月に供えるまるい焼き菓子のことを指す。(小学館の「中日辞典」より)日本語で月餅(げっぺい)と呼ばれて、日本の中華街では一年中手に入れることができ、日本人の間でも親しまれている。

中秋節はまた月夕、秋節、仲秋節、八月節、八月会、追月節、玩月節、拜月節、女児節またはとも呼ばれ、中国国内の多くの民族で流行している伝統的な文化の節句。この日の晩、月が地球から最も近づき、その月は最も大きい満月で最も明るいと言われている。そのため、人々は古くから現在に至るまで、宴会を開いて酒を飲み、月を鑑賞するという習慣がある。また、月に似せた月餅は「家族の団欒」を意味していて、実家に帰っていた嫁もその日には夫の家に戻らなくてはいけない。

現在も中国で中秋節が近くなってくると、街の百貨店や商店、スーパー等で種類豊富に月餅が並べられ、ばら売りでも箱入りでも購入可能。最近の月餅は包装が年々綺麗になるため、値段も上昇している、そのような月餅は自宅用ではなく、もっぱら贈り物用に購入しているようだ。



前年の餡を回収、翌年の月餅に再利用

ところが2001年の中秋節前、南京の老舗「冠生園」が前年の売れ残った餡を使用して月餅を製造していた、ということが中央テレビ局の記者の取材によって明らかにされました。この記者は、前年8月からこの件の取材のため、南京を訪れていました。以下はその取材内容から。



2000年の中秋節が過ぎた後、冠生園食品工場は売れ残った月餅を各地から次々と回収し、紙を貼って窓を覆った作業場に運び入れた。作業場では、数人が月餅の外側のビニール包装をとり、また数人がスコップのようなもので月餅の皮を削り取り、中の餡をはがし取る。はがし取った餡を未完成品の作業場へ運び、改めてかき混ぜて調理し、餡は1つにまとめられ、箱詰めされ、倉庫に入れられ、冷蔵された。その数100箱近く。

 そして2001年の7月2日、つまり中秋節から数えて残すところ3ヶ月となった時、南京の冠生園食品工場は作業を開始し、7月3日午前に4箱、また23日の午後には20箱の餡が冷蔵倉庫から直接生産作業場に運び込まれた。

 これらの月餅の製造は全てが順調だったわけではなく、ある時は冷蔵倉庫から運び入れた餡が硬く凍っていたため直接使用することができず、隣の小さな一室に放置され、一晩保存して解凍してから使用しなければならなかった。このように硬く凍っている餡もあったため、餡の硬さを確かめるために数人の作業員が手で餡の中をかき混ぜることがあった。

 また、餡の中にはカビが生えて変質していたものも多く、中にはそのカビがびっしり生えていたものもあった。

 

 調査によると、「冠生園」は1993年から売れ残った月餅を回収し、翌年に再利用していたということだ。これに対し、「冠生園」の責任者は次のように弁解した。

「全国の月餅生産企業はほとんどこのように製造している。古い餡を使用して新しい餡を製造することは普遍的な現象だ。」

 この言葉に国民は不満と怒りを表し、消費者は彼を「腹黒い、陰険だ」と罵り、同業者は彼を「裏切り者」と責めた。

 その年、月餅は全体的に国民から敬遠され、その年の販売額は平年の6割に落ち込み、この老舗も倒産に追い込まれた。





 その後、月餅メーカー各社は信用回復のために、品質管理の強化、情報公開などの努力を重ねました。中には全生産過程をガラス張りで見学できるように工夫する企業も現れ、そのかいあって、消費者の信頼はほぼ回復し、消費量も平年並みに戻ったということです。



 「家族の団欒」を意味するはずの月餅が、「一年に一度の格好な商売商品」化され、本来の家族団欒の意味を失ってしまっただけではなく、その商品そのものまで品質に気をつけなくてはいけなくなってしまいました。食べようとしたら餡にかびが生えてた、なんてことが今後起きないように、安心して月餅を食べられるよう、月餅メーカーには引き続き商品の品質に細心の注意を払ってもらいたいです。



 (参考文献)



・「アジアの街角から」http://chinachips.fc2web.com/repo/0032_09.html

・「食品安全意識高めた月餅事件」

・http://www.asahi.com/international/aan/column/021122.html

・http://www.cctv.com/geography/mfms/20010626/186.html